About Book
彼は犬を飼った事がないそうだ。
写真家/写真/世界がそれぞれ別の位相を呈するものだとすると、内倉真一郎はすべてのシリーズを通して生粋の写真家を生きていると言える。人を犬を街を、その被写体がもつドキュメントとしてではなく、それらが持つオーラと自分のイメージに融合させ、現実から異相を貪欲に引きづりだし写真作品へと結実させている。
今作、犬の戦士団もまたまさにそれであり、飼われている犬の中にある野性(そもそも犬のDNAに野性が残っているか疑問)を引きづりだし、内倉のイメージを掛け合わせ生まれた写真郡である。その写真は内倉真一郎そのものであり、そのイメージはシンプルで強く、分かっていてもそのエネルギーに惹き付けられ目が離せない。
「彼は自らの世界に引き込むすべを知る者である。あるいはそういったものを才能というのだろう━━。」写真家 横山隆平
Artist Statement
犬は約1万5000年前、東アジアで家畜化されたオオカミといわれている。
人間の手によって作り出された家畜化の動物群であるのなら、犬本来の凄味は何か。犬本来の威嚇、攻撃性は人間の躾によって抑えられ、様々な人間社会での仕事をこなすペットとされる。だが本質は何か。
近所の犬であろうが、野良犬であろうが、どんな犬でも構わない、瞬間的に感じてしまう戦士の様な眼差しを見たときに私は身震いがする。ごく一般的な犬が狼犬(ハイブリッドウルフ)のようなクールな瞬間を私は見逃さない。
世界全体では4億匹の犬がいるといわれ、寿命は10年程とされる。人間以上にうろたえることなく、 吠える、睨む、鳴く。素晴らしく感情的でセクシーだ。私はそれを写真に作品化し、ベストコレクションしている。
Artist Information
内倉 真一郎 | Shinichiro Uchikura
1981年生まれ 宮崎県出身
日本写真映像専門学校 非常勤講師
2010年2011年2013年にCanon主催写真新世紀を三度佳作受賞。APA、平間至賞など多数受賞。
2016年コニカミノルタフォトプレミオを受賞し、コニカミノルタプラザ新宿にて個展開催。
2016年KYOTOGRAPHI+ gallery Main企画展 「犬の惑星」個展開催
2016年 瀬戸内国際写真祭 北浜alley野外展示「分離と融合」個展開催
2016年 PIS ゲリラ展示 in渋谷 「TOM and JERRY 」
清里フォトアートミュージアムヤングポートフォリにて2002年2003年2008年2012年2016年に永久コレクションされる。
2008年NikonJuna21受賞。新宿Nikonサロン大阪 Nikonサロンにて個展開催。
2015年gallery Main企画展 内倉真一郎写真展「佳子」を個展開催。
2015年Paris photo「 fotofever artfair 2015」出展ルーブル美術館にて開催。
2015年清里フォトアートミュージアム開館20周年記念 原点を、永遠に、東京都写真美術館にて作品展示。
2014年写真評論家清水穣企画展showcase #3 en aitsにて開催。
PhotoGRAPHICA[フォトグラフィカ] vol.10 vol.11 作品掲載など多数作品掲載。
CITY RAT pressより「A human Pictorial book」「佳子」「Dog Soldiers」を出版。 |