はじまりの終わりは、おわりの始まり。
木村華子 写真集

1,500円+税 | 210×210mm | 22ページ | カラー | 限定50部

the end of THE BEGINNING,
is the beginning of THE END.
Photographs by Hanako Kimura

1,500JPY+ tax | 210×210mm | 22page | Color | softcover
Limited 50 copies

Published in 2017

About Book
現実感のない写真たちが、おもちゃの積み木のように、木村華子によって脈絡もなく積み上げられていく。
それらの写真たちは重力を無視して前後左右に不規則に連なり無限にループしていく。

終わりも始まりもわからなくなった写真たちは、過去にも未来にも土地にも意味にも繋がらず、浮遊し始める。
写真を見るものもまた、ひとたびそのループに加わると入口も出口もわからなくなっていく。いったいこのイメージは何なのか、何を目的に何を撮ったのか、何処へ向かっているのか。ページをめくっていくと、突然糸が切れたようの幕切れが訪れ、見るものをさらに突き放す。

写真が元来持っている記録性や記憶性といった目的や定義などの起点から見て、糸の切れた凧のような木村華子の写真は、誰のものでも何の為でもない”ただの写真”になり、文脈として写真という言語であり”写真の写真性”と言えるものかもしれない。

【写真家 鈴木崇からのコメント】
インディーズ写真集レーベル「CITY RAT press」から出版された、木村華子の初の写真集「はじまりの終わりは、おわりの始まり。」に収められた作品イメージは、四角いフレームの中に2つの写真が並置されたり、挟みこまれたりしている。これらは、コラージュと言うよりもモンタージュされた写真と言える。
フランス語で組み立てを意味するモンタージュは、1920年代にロシア映画でその手法が確立された。「戦艦ポチョムキン」の製作者であるセルゲイ・エイゼンシュテインは、オデッサの階段と呼ばれるシーンで、ある映像と別の映像を繋ぎ合わせることで、それら別々の映像が相対的な関係を結び、全く別の意味や解釈を見る側に与えることを示した。
映画や映像作品においては、別々のイメージを連続させて見せることで、それらが必然的な繋がりを持つかのような錯覚を、鑑賞者に起こさせることを可能にしている。一方イメージが固定された写真では、並置された写真が一つのフレーム内に収められていたとしても、イメージ同士の掛け合わせが別の解釈へと昇華する前に、それぞれの写真の関連性を想像することはできても、映画や映像のような効果を得ることは難しい。
とはいえ、個々の写真イメージが持つ、形や色調やトーン等に工夫を加えることで、写真を組み立て、映画や映像とは違うモンタージュ表現を作り出すことは不可能ではない。実際、ダダやシュールレアリズムの作品でもその実践は行われていた。
同じように、木村が作り出したこれらの写真は、くっつき合い組み立てられたイメージとして、元の写真が持つ固有の概念から解放されて、私たちにどのような新しい意味や言葉を与えてくれるのだろうか。

【写真雑誌「PHaT PHOTO」、「Have a nice PHOTO!」編集長 安藤菜穂子からのコメント】
写真イベント「御苗場」の10年の歴史の中でも、
とりわけ鮮烈な印象を残した木村華子。
2枚が組み合わさることで写真はスピード感を増し、
見ると脳と目がフル回転する。
全く違う景色が組み合わさっているのに、脳がどこか疑ってかかる。
これが本当の景色なのではないか?
1枚の写真に固定されてしまう「意味ありげなメッセージ」にあらがうように、
木村の写真はいつまでも疑うことをやめさせない。
イメージはどこまでも見る人を追いかけてくる。
「はじまりの終わりは、終わりのはじまり。」
写真集をめくるたび、その無限ループにどっぷりと浸かってしまのだ。

Artist Statement
意味と関連性を持たない二枚の写真が正方形の中でひとつとなったとき、思いがけず私に特定の時間と場所を超越した情景をもたらした。

それは向き合うたびに意味合いを変え、あるときは遠い記憶のようでもあり、あるときは自分でも到達しえない深層心理の表出のようにも感じられる。
またそうかと思えば次の瞬間、なにごともなかったかのように全く意味も関連性もない元の二枚の写真に還る。

「意味があること」と「意味がないこと」の表裏は多義図形のようにイメージの中で永遠に反転し続け、どちらか一方に留まることはない。

Artist Information
木村華子 Hanako Kimura

京都府出身、大阪府在住。
フリーランスフォトグラファーとして商業写真を撮る傍ら、自身のライフワークとしての作品を定期的に発表している。

2011年 同志社大学美学芸術学科卒業。

2012年 御苗場vol.11 レビュアー賞2部門受賞

2013年 Book Storage ヨーロッパツアーに選出。手製写真集「はじまりの終わりは、おわりの始まり。」がヨーロッパ5都市で開催されたArtbook Fairに出展される。

KYOTO PHOTO AWARD アワード部門優秀賞受賞

2016年 初となるZINE「発光幻肢 -remodering- 」を発売

個展「 写真庭園プロジェクトVol.1 <発光幻肢> 」gallery main 京都
    
個展「 写真庭園プロジェクトVol.2 <眼火閃発> 」中之島Spinning 大阪

2017年 第17回写真「1_WALL」審査員奨励賞 (菊地敦己氏選)受賞

女と(俺との)性
安森信 写真集

2,250円+税 | 210×297mm | 46ページ | カラー | 限定50部 |
サイン&ナンバー入り

Sex of woman(between me)
Photographs by Makoto Yasumori

2,250JPY+ tax | 210×297mm | 46page | Colour | softcover
Limited 50 copies | Signed & Numbered

Published in March 2017

About Book
キヤノン写真新世紀優秀賞(荒木経惟 選)など数々の受賞歴を持つ写真家安森信が、自らの性に真正面から踏み込んだ作品シリーズを纏めた初の写真集。
作家自らが語るように、この写真集は写真家としての宣言といっても過言ではない──。

食らいつきたくなるような欲望を諌めながら、丁寧に静かに行われている一連の儀式(もちろんビンビンだ)。それはまるで、ひとつひとつの所作をゆっくりと確認しながら行われていく神事のようで、厳かさと静謐さを想像させる。
性に対する敬意と、肉欲への憧憬、妖艶な美意識、それらに貫かれた安森の写真の1カット1カットには、肉汁と愛汁が染み込んでいて、その汁を吸った赤い紐は写真を見るものをも縛り上げ、もがけばもがくほどに食い込んでくる。

Artist Statement
写真を撮り始めて20年。
近年の自分の写真に対する姿勢に危機感を感じた。
あまりにも行儀よく写真を撮ったり、世に溢れるぬるい写真を見ている事に『ヤバイ』と思った・・・

自分はもともと大先輩達の撮る女や女の裸の写真に、ガツンと脳裏までやられて写真を続けてきたのに・・

そこで、もう一度自分を見つめ直し、本当に撮りたいものを我侭に撮ろうと思い『女』を撮った。
初めての写真集で自身が撮った『女』を世に出す事で、写真を撮るものとしての決意をここに示す。

Artist Information
安森信 | Makoto Yasumori
1977年生まれ。
日本写真映像専門学校研究科卒業。
CATV勤務を経て、2009年フォトグラファーとして活動をはじめる。
2009年 キヤノン写真新世紀優秀賞(荒木経惟 選)受賞。
他、様々なコンテストで多数受賞。
国内外で個展・グループ展多数開催。
九州産業大学に上野彦馬日本写真芸術学会奨励賞作品『華恋』を収蔵。

SUNLIGHT MEMORIES
土佐和史 写真集

3,500円+税 | 210×290mm | 68ページ | カラー
上製本 | 限定103部

SUNLIGHT MEMORIES
Photographs by Kazufumi Tosa

3,500JPY+ tax | 210×290mm | 68page | Colour
Hardcover | Limited 103 copies

Published in 2017

About Book
写真家としてのそのキャリアを通して、市井の人々に真摯に向き合ってきた土佐和史の美しい光とともに捉えられた楽園の記憶。
写真家 土佐 和史。彼は写真の魅力を知っている。
フレーミングは横位置、構図、被写体は日の丸、そして全てカメラ目線。その抜けの良さに合わせフィルムはポジ。
あまりにシンプルでストレートなスタイルは決して弱くはなく、見る者をスッキリとさせてくれる。
東京在中で活動しているにも関わらず、地方(町、村、山)まで車を走らせ気に入った場所でキュッと車を止め撮影を開始する。
開始ではなく対話かもしれない。その地方に住む人々を見て、互いに気持ちが通い合うかのような被写体を選び、少しの会話をし、被写体は特に動かされる事もなく、そのまま静かにシャッターを切る。
一貫して美しく見えるものは光だ。その光は夕日が多い。
理由は単純で夕方に町の人々は海を見に行き、泥んこ遊び、恋人同士の会話、サーフィン、散歩、学校帰りの子供達、最も美しい時間。
だから写し出された写真は夕方が多い。照らされる光の美しさは、地方に住み暮らす人々への写真家土佐和史からの永遠の愛である。

『ちいさな幸せがそこにある。
 忘れそうな喜びがそこにある。
 それで充分じゃないですか。
 そこにあるのは大きな生きる力です。

 みんな生きている。
 人も山も海も太陽の光を浴びて
 みんな生きている。
 彼らに会いたくて、土佐君は歩く。
 どんなに歩いても疲れない旅はこれからも続く。』日本写真映像専門学校校長 濱口 栄

『まっすぐな瞳で見つめ合ってるやん♡』川島小鳥

Artist Statement
想えば、生まれ育った大阪にいた頃から地方への憧れがあった。それはまだ写真に出会っていない頃からだった。
時間が出来るたびに港町や山村に、特に目的もなくふらふらと出向いた。
非日常に身を置くことで、旅を感じ、自分だけの楽園を探しているのだった。

「写真に一番必要なもの、それは光です」恩師の言葉で僕の写真人生が始まった。
それからはカメラと共に、ひとたちや景色と向かい合うようになった。
仕事の為に上京してから、ここではない何処かへの想いはますます強くなっていった。
慌ただしい日常から離れ、少しだけ足を伸ばしたところに、全く違う時間が流れるその場所はあった。

地方に行くと新しい出会いや発見以上に、自分の過去の記憶を辿ることがある。
学校帰りの草の匂い、夕焼けになっていく部屋、祖母の手の感触。 温かくて切ないものが、からだを包み込む。
そう、あの頃のあの眩しい記憶たちが今の自分をつくっているのかもしれない。

Artist Information
土佐和史 | Kazufumi Tosa  || オフィシャルサイト ||
1977年大阪府生まれ。
2003年Mio写真奨励賞 グランプリ受賞、2015年コニカミノルタフォトプレミオ受賞。
代表作に「和らぎの道で」「イロマチズム」等がある。
現在、東京都在住。全国各地に出向き、旅ゆく道で出会ったひとや風景を撮り続け作品発表を行っている。

 

Samskeyti
ヨシダミナコ 写真集

2,000円+税 | 210×184mm | 40ページ | カラー
限定50部

Samskeyti
Photographs by Minako Yoshida

2,000JPY | 210×184mm | 40page | color
softcover | Limited 50 copies

Published in December 2016

About Book
およそ九年振りに作品制作を再開した写真家ヨシダミナコの初作品集──。
「あなたにとって写真とは?」このよくある問いに込められた真相が何であれ、
「手紙です」と簡潔な答えをヨシダミナコは持ち合わせている。
誰もが想いが届くようにとペンを持ち頭を悩ませるように彼女はカメラを持ち素敵な手紙を綴ろうとする。

写真集では一貫して大きくフレーミングされた空の下、教会の佇まいが柔らかく綴られている。
それは実際に教会の中に入り捧げる祈りとは違うように見え、教会の上空遠くへと交信を試みる役割を担っているアンテナのように見える。
今回、彼女が綴った手紙の宛先はどうやら一筋縄ではいかない相手のようだ。

極めて個人的な生活・事象にフォーカスし表現されて来た文脈のある私写真。
ならば、手紙という私性を風景によって昇華させたこの写真集は、私写真のニュースタンダードになり得るのかも知れない。

Artist Statement
これは父を撮影した作品です。
15年前、父が病と闘う中で、わたしは父の死と向き合うことが出来ず、父に寄り添った母の姿を撮っていました。けれど、母の写真が残ったことにより、父を撮れなかったということが、また父と向き合えなかったということが、大きな後悔として自分の中に残りました。
父と向き合えなかったのには理由があります。
家の中での父は、いつも怖い存在でした。常に何かにイライラとしていて、理不尽に怒鳴り散らし、母はそんな父親から子供達を遠ざけ、子供達もまた父親というものを避けてきました。
ただひとつだけ、わたしには父とのささやかな思い出があります。
幼い頃、わたしは父に連れられて日曜日のミサへよく出かけていました。キリスト教徒ではなかった父が、何故わたしだけを連れて礼拝に通っていたのか、その理由を聞いたことはありません。
父が亡くなってから、外国へ行く度に教会を訪れるようになったのも、そうした体験からなのだと思います。
2014年、アイスランドを旅した時に、圧倒的な自然の中にぽつねんと建つ教会の姿を見て、その風景がわたしの中の父親像と重なっていくのを感じました。
アイスランドの旅から戻って、研究者の方とコンタクトを取っていく中で、これまでの外国で見てきた多くの教会は人々が集まる街の中心地に建っているのに対し、どうしてアイスランドの教会はぽつねんとした風景の中に建っているのか、その理由がわかりました。それはアイスランドの定住方法自体が散居だったことが大きく関係しているということです。そして、ぽつねんと建っているように見えたアイスランドの教会も、実は人々のコミュニティーの要として存在しているということでした。
そのことから、わたしはアイスランドの教会が自分の父親像と何故結び付いていったのかがはっきりとしたように思えました。
わたしは父と向き合えなかったことから、ずっと父親というものから孤立していると思ってきましたが、アイスランドの教会を訪れたことにより、家族の要としての父が存在していたことを強く感じることが出来たからです。
そして、アイスランドの教会を撮影するために、再びこの国を訪れました。
幾つもの教会を撮影していく中で、わたしはやっと父と向き合う時間を得ることが出来たのだと思います。

*「Samskeyti」…アイスランド語で「合流点」、「接合点」、「つなぎ目」を意味する。

Artist Information
ヨシダミナコ | Minako Yoshida  || オフィシャルサイト ||

1981年 兵庫県神戸市生まれ
2002年 日本写真映像専門学校 卒業
2002年 第25回キャノン写真新世紀 優秀賞 マルク・リブー選
2005年 富士フォトサロン新人賞2005 奨励賞

2002年 The Third Gallery Aya(大阪)での初個展以降、2007年までコンスタントに作品を制作発表。
2016年 約九年振りに作品制作を再開。

エヌ:人間。或いはそれに似たもの
シノハラユウタ 写真集

2,500円+税 | 210×297mm | 96ページ | モノクロ | 限定50部

N : NINGEN
Photographs by Yuta Shinohara

2,500JPY | 210×297mm | 96page | Black & White| softcover
Limited 50 copies

Published in October 2016

About Book
若きストリートファトグラファー、シノハラユウタのタブロイドシリーズを一冊に纏めた写真集。
極めて人工的なノイズによって厚化粧をされた憂い顔の人間共。無差別にノックアウト・ゲームを楽しむアメリカのティーンのように、行き交う無数の人間共に至近距離からこれでもかと米利堅を振りかざす。煌めきを失うほど黒々と殺められた人間共が凝望する風景に僅かばかりの此れからを期待して。もっともっと、陽の当たる場所へ。孤高の写真家シノハラユウタに剥ぎ取られた243人の仮面写真集。

Artist Statement
言いたいことをなるべく綺麗な言葉で、声高らかに発信する不特定な大多数。
もの言わぬ顔をしながら、何を言っているのか分からない人間たち。
1969年11月、当時の大統領ニクソンは演説の中で「グレート・サイレント・マジョリティ」という言葉を用いた。
2015年1月、ある男は「マジョリティ・ノイズ」という言葉を使い現代を揶揄しようとした。2016年。その男は「声高な大多数」を探す

Artist Information
シノハラユウタ | Yuta Shinohara  || オフィシャルサイト ||
1985年島根県生まれ。大阪府在住。
2006年ビジュアルアーツ専門学校卒業。
以降大阪を中心に写真活動を行う。
個展
「NO BRAIN」(gallery 10:06 - 2008年)
「S.Q」(gallery 10:06 - 2011年)
「Mr.Liberty」(TOTEM POLE PHOTO GALLERY - 2012年)
「Mr.Liberty」(HATTEN GALLERY - 2012年)
「Origins」(Gallery 9 Kyoto - 2014年)
グループ展
「大大阪展」(BEATS GALLERY - 2011年)
「写真。」(CASO - 2012年)
作品集
「Mr.Liberty」(自費出版-2012年)
「CROPSシリーズ」(タブロイド版-2014~2015年)

果たして路上は、都市のネズミの書く詩のように続いてゆく。
横山隆平 写真集

1,500円+税 | 210×297mm | 32ページ | モノクロ | 限定30部 |
サイン&ナンバー入り

After all, the streets continue like lyrics written by rat in the city.
Photographs by Ryuhei Yokoyama

1,500JPY | 210×297mm | 32page | Black & White | softcover
Limited 30 copies | Signed & Numbered

Published in september 2016

About Book
「都市と物ども」三部作の内CITYRAT pressから出版された前作、街区の壁の野晒しの…に続く第二作。
あいもかわらず同じようなイメージばかりを思い求め、消費された情報や微かな希望を夢見た人々で溢れかえったTOKYOを徘徊する。まるでチャールズ・ブコウスキーの小説でおなじみの主人公チナスキーが愛飲するジャックダニエルを片手に今日を共にするアバズレを探し求め、朦朧と極めて刹那的な日々を送る、その断片を見ているようだ。不安定なモノクロフィルムに叩きつけられた歪んだ光景は時に眩しく、時に狂おしく私たちの目の前に図々しく鎮座する。酔いどれ写真家・横山隆平が醜くもこの愛すべきアンビルトな世界を引き千切った邪悪で怠惰な写真集。

Artist Statement
映画館のAKIRA上映の告知、崩れゆく国立競技場、グラフィティ、線路脇に放り投げられたモンタナスプレー缶、SUPREMEのポスター、渋谷の雑景、 ジャックダニエルの空瓶ー。
宇田川町の路傍、ビルの影のなかでフィルム交換をして立ち止まる僕の前を、大きな帽子を被った女が通り過ぎる。
颯爽とした後姿を残し、光の中へと去っていった。
駅前の交差点、アスファルトの間隙でネズミが光と戯れていた。

僕の好きな街、僕の記憶や興味の対象がレンズを通してそのまま表出したような写真集となった。

Artist Information
横山隆平 | Ryuhei Yokoyama  || オフィシャルサイト ||
1979年大阪府生まれ。現在、東京都在住。
モノクロフィルムによる都市写真を中心に作品を展開。
2003年写真集「TOKYO,UNTITLED.」出版。2006年Photography Magazine 81LAB.立ち上げに参加、写真集「酔っぱらったピアノ弾きのようなやりかたでシャッターを押せ」出版。青山ブックセンター本店、自由が丘店において同名写真展開催。「路上、その他の映像について」 Library lounge THESE 東京、「29℃ 12分 焦げたフィルムの果 てに」81LAB. GALLERY 大阪、「都市と物ども 反復/更改」gallery Main 京都など個展にて作品発表。また、大阪成蹊大学 芸術学部主催によるファナティック・モノクローム| アートに見るモノクローム表現世界の現在 |、京都市美術館 別館 Kyoto Current展 Vol.04、KYOTO GRAPHIE+"galleryMain + GALLERY 9 kyoto" archives展など、グループ展、企画展に出品を多数行っている。

CALLE ESPERANZA / CITYRAT edition
水渡嘉昭 写真集

1,200円+税 | A4(A1を八つ折 両面印刷)+カバー表紙付き
16カット掲載 | カラー | 限定50部

CALLE ESPERANZA / CITYRAT edition
Photographs by Yoshiaki Suito

1200JPY+tax | 594×840mm | 16 images | color | softcover
Limited 50 copies

Published in November 2015

About Book
2006年より開始したラテンアメリカの人々を写真に収めるプロジェクト。コニカフォトプレミオに入選したキューバの首都ハバナのセントロハバナ地区で撮影したカラフルな玄関先をA1サイズにまとめたポスター作品。雑誌や関西圏のギャラリーで発表数々の受賞歴を持つ若手写真家 水渡嘉昭の第1作品集。

Artist Statement
なにもせずに涼しい顔を保っていられる人々に魅力を感じています。
キューバの首都ハバナのセントロハバナ地区。年季の入った住処の玄関先に、夕暮れになると人々が出てきては時を過ごす。暑さが和らいだ後の涼しい風を浴びるためか、昼寝(シエスタ)後の眠気を晩飯前に覚ます為かは知りません。彼等はとにかくその場に存在し、ただ時を過ごしています。

そんな事を日本の日常で真似てみようものなら、何もしていないという罪悪感、何もできていないという劣等感を私は抱いてしまいます。無意識の内に他者と自分を比較し、焦りを感じ、涼しい顔なんて全くできやしない弱い自分。そんな自分自身を想像すると、この人達のような強靭な精神力が欲しいと彼等に見入ってしまいました。

キューバの公用語スペイン語で、「待つ」を意味する「Esperar」は、同時に「希望する」という意味でもあります。それを知った時、一見、何もせずにいる人々が、「何かを待っている」=「何かを期待している」=「何かを希望している」のではないか?私には彼等がそうも映りました。

時間に追われ、何かせねばと自らを追い立てがちな日本の私たち。待てない私たちは、「希望する事」を忘れているのではないだろうか?ハバナのこの人々を目の前にし、私はそう感じたのです。

Artist Information
水渡嘉昭 | Yoshiaki Suito   || オフィシャルサイト ||

1978年 大阪府出身。
米国ニューヨーク市立大学ラガーディア校写真学科卒業
個展
2010年 ‘SAM’  galleryMain  京都
2015年 ‘ Calle Esperanza’  コニカミノルタプラザ 東京
グループ展
2011年 ‘Ricky’ アセンス大阪
2011年 ‘SAM’  Mio写真奨励賞 大阪
受賞歴
2010年 Mio写真奨励賞 
2015年 コニカミノルタフォトプレミオ

Biwako, 2014-15
楢橋朝子 写真集

2,000円+税 | 210×297mm | 28ページ | カラー | 限定88部

Biwako, 2014-15
Photographs by ASAKO NARAHASHI

2,000JPY | 210×297mm | 28page | color | softcover
Limited 88 copies

Published in april 2015

About Book
押しては引いていく波の間に間に見え隠れする陸と湖の狭間に身も心も揺られながら、茫漠と広がる琵琶湖に向かって(琵琶湖に背を向けて)、水面のゼロ地点から何かを契機としてシャッターを切っていく。陸が揺れているのか、湖が揺れているのか、境界線は曖昧になっていき、その境界線すらも何と何をわけるものなのかと揺らいでいく。時にそれは、地上と地下であり、酸素と無酸素であり、生と死などの観念であり、空想は尽きないのである。

Artist Statement
近づいては遠ざかるー琵琶湖の場合
琵琶湖の印象、と思い至って非常に困惑している。ひとによってこれほど違う印象を持つ場所も珍しいのではないだろうか。多彩で懐が深く広がりがある。というか大きすぎる。単体として意識できないくらいに。私にとって最初の印象は、半世紀も前に見た日本地図上の形と大きさだったろう(日本列島がひっくり返って仕舞われたみたいだ)。びわ、という言葉だったかもしれない。これは私が関東に生まれ育ったせいの貧弱なイメージなのかもしれないが、関西の人はなんと答えるのかぜひ聞いてみたい。ずいぶん前のことだが、友人夫妻が新婚旅行に琵琶湖へ行ったと聞いたとき、こみ上げた嫉妬に近い感情(まだその時は琵琶湖へ行ったことがなかった)と、そのセンスに脱帽したのを未だ生々しく覚えている。琵琶湖は具体的なイメージの伴わない憧憬のアイコンだったのだ。
あれから何度琵琶湖へ足を運んだことだろう。木之本方面へ仏像をめぐり、日射しを気にしながら歩いたこと、大津の噴水を撮りにいったら休みだったこと、どこか博物館の上の方に作り物のトンボがいたこと、湖北へ桜を撮りにいったら来週だねと言われたこと、竹生島へ渡った乗場にあるホテルが良さげだったこと、近江八幡の山の上からの茫漠とした広がり、けれどもどれも夢の中の出来事のようにぼやけて不確かだ。琵琶湖というひとくくりにしようとするとますます印象が拡散し焦点を結ばない。こうしてまた琵琶湖を見失う。
去年の春、前回ふられた湖北へお花見シーズンに行くことができた。そのときふと、しばらく琵琶湖を季節ごとに撮ってみようかと思った。「季節ごと」などという言葉が、自分の頭に浮かんだことが意外だった。そういう発想は初めてのことだった。夏の終り、雪のある時期と撮影を続けた。残念ながら秋といえるシーズンは逃してしまったが。その時々はベストの撮影をしたにもかかわらず、琵琶湖のナゾは深まるばかりで、これでもうお終いとは思えなかった。秋もないことだし。

Artist Information
楢橋朝子 | Asako Narahashi
1959年東京都生まれ。
早稲田大学第二文学部美術専攻卒業
80年代半ばに写真家として活動開始

<近年の主な個展>
「堀川—Horikawa Horizon」(中京大学アートギャラリーC•スクエア)
「half awake and half asleep in the water」(ツァイトフォトサロン、ヨッシ・ミロ・ギャラリー、プリスカ・パスケール他)
「近づいては遠ざかる」(東京アートミュージアム)
「Coming Closer and Getting Further Away」(ローズ・ギャラリー他)
「biwako2014-15」(ギャラリーメイン)

<写真集>
『NU•E』(1997 蒼穹舎)
『フニクリフニクラ』(2003 蒼穹舎)
『half awake and half asleep in the water』(2007 Nazraeli Press)
『Ever After』(2013 オシリス)

http://www.03fotos.com/

KEIHANSHIN FRONTIER ZAPPING
カワトウ 写真集

2,000円+税 | 210×297mm | 30ページ | カラー | 限定50部

KEIHANSHIN FRONTIER ZAPPING
Photographs by KAWATOU

2,000JPY | 210×297mm | 30page | color | softcover
Limited 50 copies

Published in september 2014

About Book
”何も無いということは、未来しかない”
都市における空き地とは、”建っていた何か”の消失であり、また”これから建つ何か”の予感であり、「過去と未来の狭間のほんの刹那」「社会的/建築的には役割も成さない跡」である。それは何もない空間であると同時に、何かがあろうとしている空間。カワトウにとって、「”意味を持たない存在”という存在である空き地」、と「一介の若手写真家である自分自身」がシンクロしているのかもしれない。
何もない空間を空間として捉えたその写真群は、執拗なまでに集積され、新たに意味を持ちはじめる。写真でしか出来ないオリジナリティをはらみながら。大阪を拠点にフリーのフォトタブロイド誌「Noiz」を発行するなど精力的に作品発表を行う若手写真家 カワトウの初写真集。

写真家 楢橋朝子氏からのコメント
「建物に見つめられて立ち往生、と思いきや建物が主役ではないことはすぐに分かる。その手前の空間、空き地。何もないと言ってしまいそうだが、草ぼうぼうだったりゴミが捨ててあったり、隣との敷地が不分明で越境していたり、よくある光景だがよく分からない理由や諦念が垣間見える隙間。整然と並べられながら距離感は微妙に異なり、一瞬粗暴な気配が過るもむしろ知的な顔さえ見せる写 真は、足並みの揃わない小波のような不協和音に満ちていてしばし離れがたい。」

◆WaPocによる写真集の書評記事はこちらから

Artist Statement
ジョン・マクレーンにベレッタM92で淡々と射殺されていく名も無きテロリスト達。誰の記憶にも残らずこの世を去っていく彼らの人生もまた、世界一ついていない男ジョン・マクレーンと同じように、壮大で波乱に満ちたものだっただろう。

Artist Information
カワトウ | KAWATOU
1983年宮崎県生まれ。全くの無名。2010年大阪産業大学大学院卒業。2012年写真表現大学本科修了。
現在、モヒカンプロフリーターとしてアルバイトを3つ掛け持ちしながら大阪を拠点に作家として活動。また、若手作家3人でフリーのフォトタブロイド誌「Noiz」を発行している。主な個展に「REFLECTION」(Gallery10:06)、「KEIHANSHIN FRONTIER ZAPPING」(PortGalleryT)など。

街区の壁の野晒しの、いずれ消えゆくグラフィティのような
都市と光と静物のひどく短い歴史
横山隆平 写真集

1,500円+税 | 210×297mm | 32ページ | モノクロ | 限定30部 | 全ナンバー入り

THE BRIEF 'GRAFFITI-LIKE' HISTORY - THE STORY
OF THE CITY WITH LIGHTS AND STILL OBJECTS,
AS VULNERABLE AS THAT GRAFFITI LEFT OUT IN
THE OPEN.
Photographs by Ryuhei Yokoyama

1,500JPY | 210×297mm | 32page | Black & White | softcover
Limited 30 copies | Numbered

Published in september 2014

About Book
「街区の壁の野晒しの、いずれ消えゆくグラフィティのような都市と光と静物のひどく短い歴史」。これが横山隆平の写真集のタイトルだ。この冗長なタイトルを聞いて直ぐに思い出すのが、B’zの「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」だ。最近の若者ならAKB48の「鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」が頭を過ぎるかもしれない。しかし、横山隆平の写真は前者のようにオリエンタルなメロディにのせ、ドラマティックな愛を唄ったようなものでもなく、勿論後者のように素人に毛が生えたようなセミプロ集団が、草食系男子の生ぬ るい恋物語を唄ったようなものでもない。この世にフィルムに焼き付けるべきものなんか何もない。深淵に臨むが如し写真群の強烈な闇に、暫くの間沈吟するだろう。

写真家 上野裕二氏からのコメント
「“ただの、静物描写”ではない。 時間軸に当てはめれば、全く動きを止めているものなど存在しえないのだから。 光と影に生かされて、静止を拒むこれらの時動物は、儚くてノスタルジックな歴史を今も紡ぎ続ける。」

Artist Statement
“説明をほどこそうとはしない光にひたっている、あふれんばかりの素晴らしい記号たち”
マノエル・デ・オリヴェイラの写真について云われたのではないその言葉は、しかし僕の視線、或いは風景に対する眼差しを導く大切な動機となった。 ここに収められた写真は、その直截の結果といっていいし、またこの数年の間に展開してきた都市の写 真郡の核となるものである。

Artist Information
横山隆平 | Ryuhei Yokoyama  || オフィシャルサイト ||
1979年大阪府生まれ。現在、東京都在住。
モノクロフィルムによる都市写真を中心に作品を展開。
2003年写真集「TOKYO,UNTITLED.」出版。2006年Photography Magazine 81LAB.立ち上げに参加、写真集「酔っぱらったピアノ弾きのようなやりかたでシャッターを押せ」出版。青山ブックセンター本店、自由が丘店において同名写真展開催。「路上、その他の映像について」 Library lounge THESE 東京、「29℃ 12分 焦げたフィルムの果 てに」81LAB. GALLERY 大阪、「都市と物ども 反復/更改」gallery Main 京都など個展にて作品発表。また、大阪成蹊大学 芸術学部主催によるファナティック・モノクローム| アートに見るモノクローム表現世界の現在 |、京都市美術館 別館 Kyoto Current展 Vol.04、KYOTO GRAPHIE+"galleryMain + GALLERY 9 kyoto" archives展など、グループ展、企画展に出品を多数行っている。

Relation, appropriate distance #prototype
中澤有基 写真集

2,000円+税 | 297×210mm | 48ページ | カラー
限定50部

Relation, appropriate distance #prototype
Photographs by Yuki Nakazawa

2,000JPY | 297×210mm | 48page | color
softcover | Limited 50 copies

Published in september 2014

About Book
『人間が己れの志向を成就させるためには、空間的諸関係を「了解」し、それを一つの「空間概念」の中に統一しなければならないのである』(ノルベルグ・シュルツ「実存・空間・建築」より)

中澤有基の眼差しは一体どこへ向かっているのか。考えれば考える程、理解に苦しむ。必要なまでに情報を排除した世界。時折写る人々の装いにより、辛うじて此処は日本であろうと判断出来る。しかし、中澤有基にとって場所の特定や写真の文脈など、取るに足らないことかもしれない。徹底的に圧縮された画面 の奔流は息苦しく、孤独で不快な快楽を与えてくれることを期待する。
gallery Main、Gallery 9のディレクションに加え、自らも作家として活動する中澤有基の処女写真集。

Artist Statement
"Relation, appropriate distance "
角度や距離によってモノの見え方は変わり、 関係も距離によって変容する。 関係とは、AとBで初めて成立し、 距離もまた、AとBがあって成立する。 無関係な”何か”と”何か”が、写真の中で関係を結び、 それ自らが新しく世界を始める。 そこには”視覚”と”認識”に対する問いかけがある。

Artist Information
中澤 有基 Nakazawa Yuki
(写真家/ギャラリスト/写真企画運営)
www.nakazawayuki.jp

1980年 生まれ
2004年 ビジュアルアーツ大阪 写真学科卒業
2010年1月 galleryMain をオープン
2011年11月 FOTON photo projectを立ち上げ
2012年1月 GALLERY 9 kyoto ディレクター着任
2012年2月 FLAT - kansai students photographers -(関西学生写 真チーム)開始
2012年11月 京都写真教室Tract(トラクト)開講 ギャラリー運営に加えて、様々な写真プロジェクトを企画。
自身も個展を開催するなど作品制作も精力的に行っている

galleryMain
GALLERY 9 kyoto
FOTON photo project
京都写真教室 Tract
FLAT - kansai students photographers -

主な展示
2010年写真展「臨界」(galleryMain)
2011年写真展「流レ」(galleryMain)
2012年 天津優貴 × 中澤有基 写真と映像展『バイバイ、ママ』GALLERY 9 kyoto
2012年9月 KyotoCurrent展出展(京都市美術館別館)
2013年1月 個展「震える森、焦点の距離」(GALLERY 9 kyoto)
2013年4月 KYOTOGRAPHIE+にて 個展「SAKURA010」(galleryMain)
他グループ展多数

PORTRAIT
牛久保賢二 写真集

1,000円+税 | 148×210mm | 7シート | カラー | 限定30部

PORTRAIT
Photographs by Kenji Ushikubo

1,000JPY | 148×210mm | 7Sheets | color | softcover
Limited 30 copies

Published in september 2014

About Book
顔とはその人間の表層における最重要なアイデンティティであり、写真における顔の消失は、「特定のだれか」を「不特定な誰か」にし(同時にそれは全てを特定のだれかにもなりえる。A子さんでもありB男くんかもしれない)、被写体を”人間”という存在そのものにしてしまう。鑑賞者は個性が消失された写真の中で、光のリフレクションに注視し、写真世界と接続されていく。 アイデンティティの消失と同時に、彼の作品の中で重要なのは、撮影シチュエーションに見られる”コスチューム”や”場”の意味であると言える。それらは日本の文化としての象徴的なもの(作品には日本以外も含まれているようだが)であり、シンボリックでありながらどこかキッチュ(けばけばしさ、古くささ、安っぽさ)に捉えられている。 それらは一定の距離感と関係性を保ちながら、牛久保の写真の中に集約し昇華していく。新たなシチュエーションでの撮影を試みるなど、進化の過程にありながらも完成度の高い作品となっている。 写真新世紀を受賞するなど、新しい感性で今後の活躍が期待される若手写真家 牛久保賢二の作品集。

Artist Statement
“目にみえないものを見てみたい” そんな思いからこの作品は始まりました。

光る人を依り代とし、場と繋がったとき、そこには何が宿るのか。

Artist Information
牛久保 賢二 Kenji Ushikubo
1982年生まれ。群馬出身・京都在住。
” 光と場 ”を題材に、写真作品を制作。
’10年キヤノン写真新世紀佳作受賞。
’12年 ZINE写真集『 PORTRAIT / ある光』刊行。
関西を中心に展示、活動している。

ushikubokenji.com

beyond a mask 2007
リオ 写真集

2,000円+税 | 220×220mm | 32ページ | カラー | 限定30部

beyond a mask 2007
Photographs by Lio

2,000JPY | 220×220mm | 32page | Color | softcover
Limited 30 copies

Published in september 2014

About Book
“SAVE TIBET”と織り込まれたニット帽子が、まるでマスクのように人々の顔を覆っている。多くを語らぬ方がきっといいだろう。見えぬことで見えてくる、そんなアンビヴァレントな想像する眼を頼りに、チベットを知るものもそうでないものもただページを繰り、眺めればいい。
世界各国に赴き、レンズを通して土地と文化、歴史そして人々を見続けてきた写真家リオの「顔のみえないポートレイト」としてPhotography Magazine 81LAB.で発表されたチベットのポートレイト・プロジェクトを纏めた写真集。

写真家 横山隆平氏からのコメント
「僕はチベットについて殆ど何も知らなかった。だけど、この顔の見えないポートレイトを見たことで、その土地に生きる人々の事を、またその政治的生活背景を想像するきっかけを持った。ニットのマスクで覆われたその肖像写真は、今まで僕の目に触れたチベットのそれではなかった。
このシリーズに出会ったのは、もう何年も前の出来事だが、ポートレイト写真の奥深さを伝えてくれた写真的体験として、今なお鮮やかに僕の中に記憶されている。」

Artist Statement
チベット亡命政府のあるインドのダラムサラではいまだに中国政府の影響が強く、
親族がチベット本土に暮らしている為に不安が残り、自らの顔を明かせないこともある。
マスク越しに見える人々の自由を想像するきっかけとなることを願って。

Artist Information
リオ LIO
1980年生まれ 札幌出身
困難ななか逞しく生きる人々に魅了され難民の取材にチベットなどアジア、中東など50カ国程足を運ぶ。
近年はモンゴルやスリランカなどで障害を持つ子どもたちを撮影している。

美術館コレクション
2010清里写真美術館「ヤングポートフォリオ」にて6点収蔵

個展
2008 blind ギャラリー門馬 札幌
2006 境界 cafe esquisse 札幌
2006 チベット昔話 think garden 札幌

グループ展
2012 Media Arts Summer Festival2012 ICC 札幌
2011 pace of wishes charity work exhibition cafe esquisse 札幌
2010 地球の余命が告げられても、ひとは、今日も恋をする。 la galerie 大阪
2009 81LAB. 3th anniversary photo exhibition ギャラリーアセンス 大阪
2007 81LAB. 1th anniversary photo exhibition ギャラリーアセンス 大阪

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