Biwako, 2014-15
楢橋朝子 写真集

2,000円+税 | 210×297mm | 28ページ | カラー | 限定88部 | 全ナンバー入り

Biwako, 2014-15
Photographs by Asako Narahashi

2,000JPY+ tax | 210×297mm | 28page | Color | softcover
Limited 88 copies | Numbered

Published in April 2015

sold out

About Book
押しては引いていく波の間に間に見え隠れする陸と湖の狭間に身も心も揺られながら、茫漠と広がる琵琶湖に向かって(琵琶湖に背を向けて)、水面のゼロ地点から何かを契機としてシャッターを切っていく。陸が揺れているのか、湖が揺れているのか、境界線は曖昧になっていき、その境界線すらも何と何をわけるものなのかと揺らいでいく。時にそれは、地上と地下であり、酸素と無酸素であり、生と死などの観念であり、空想は尽きないのである。

 

Artist Statement
近づいては遠ざかるー琵琶湖の場合
琵琶湖の印象、と思い至って非常に困惑している。ひとによってこれほど違う印象を持つ場所も珍しいのではないだろうか。多彩で懐が深く広がりがある。というか大きすぎる。単体として意識できないくらいに。私にとって最初の印象は、半世紀も前に見た日本地図上の形と大きさだったろう(日本列島がひっくり返って仕舞われたみたいだ)。びわ、という言葉だったかもしれない。これは私が関東に生まれ育ったせいの貧弱なイメージなのかもしれないが、関西の人はなんと答えるのかぜひ聞いてみたい。ずいぶん前のことだが、友人夫妻が新婚旅行に琵琶湖へ行ったと聞いたとき、こみ上げた嫉妬に近い感情(まだその時は琵琶湖へ行ったことがなかった)と、そのセンスに脱帽したのを未だ生々しく覚えている。琵琶湖は具体的なイメージの伴わない憧憬のアイコンだったのだ。
あれから何度琵琶湖へ足を運んだことだろう。木之本方面へ仏像をめぐり、日射しを気にしながら歩いたこと、大津の噴水を撮りにいったら休みだったこと、どこか博物館の上の方に作り物のトンボがいたこと、湖北へ桜を撮りにいったら来週だねと言われたこと、竹生島へ渡った乗場にあるホテルが良さげだったこと、近江八幡の山の上からの茫漠とした広がり、けれどもどれも夢の中の出来事のようにぼやけて不確かだ。琵琶湖というひとくくりにしようとするとますます印象が拡散し焦点を結ばない。こうしてまた琵琶湖を見失う。
去年の春、前回ふられた湖北へお花見シーズンに行くことができた。そのときふと、しばらく琵琶湖を季節ごとに撮ってみようかと思った。「季節ごと」などという言葉が、自分の頭に浮かんだことが意外だった。そういう発想は初めてのことだった。夏の終り、雪のある時期と撮影を続けた。残念ながら秋といえるシーズンは逃してしまったが。その時々はベストの撮影をしたにもかかわらず、琵琶湖のナゾは深まるばかりで、これでもうお終いとは思えなかった。秋もないことだし。


Artist Information
楢橋朝子 | Asako Narahashi
1959年東京都生まれ。
早稲田大学第二文学部美術専攻卒業
80年代半ばに写真家として活動開始

<近年の主な個展>
「堀川—Horikawa Horizon」(中京大学アートギャラリーC•スクエア)
「half awake and half asleep in the water」(ツァイトフォトサロン、ヨッシ・ミロ・ギャラリー、プリスカ・パスケール他)
「近づいては遠ざかる」(東京アートミュージアム)
「Coming Closer and Getting Further Away」(ローズ・ギャラリー他)
「biwako2014-15」(ギャラリーメイン)

<写真集>
『NU•E』(1997 蒼穹舎)
『フニクリフニクラ』(2003 蒼穹舎)
『half awake and half asleep in the water』(2007 Nazraeli Press)
『Ever After』(2013 オシリス)

http://www.03fotos.com/

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