はじまりの終わりは、おわりの始まり。
木村華子 写真集

1,500円+税 | 210×210mm | 22ページ | カラー | 限定50部

the end of THE BEGINNING,
is the beginning of THE END.
Photographs by Hanako Kimura

1,500JPY+ tax | 210×210mm | 22page | Color | softcover
Limited 50 copies

Published in 2017

sold out

About Book
現実感のない写真たちが、おもちゃの積み木のように、木村華子によって脈絡もなく積み上げられていく。
それらの写真たちは重力を無視して前後左右に不規則に連なり無限にループしていく。

終わりも始まりもわからなくなった写真たちは、過去にも未来にも土地にも意味にも繋がらず、浮遊し始める。
写真を見るものもまた、ひとたびそのループに加わると入口も出口もわからなくなっていく。いったいこのイメージは何なのか、何を目的に何を撮ったのか、何処へ向かっているのか。ページをめくっていくと、突然糸が切れたようの幕切れが訪れ、見るものをさらに突き放す。

写真が元来持っている記録性や記憶性といった目的や定義などの起点から見て、糸の切れた凧のような木村華子の写真は、誰のものでも何の為でもない”ただの写真”になり、文脈として写真という言語であり”写真の写真性”と言えるものかもしれない。

 

【写真家 鈴木崇からのコメント】
インディーズ写真集レーベル「CITY RAT press」から出版された、木村華子の初の写真集「はじまりの終わりは、おわりの始まり。」に収められた作品イメージは、四角いフレームの中に2つの写真が並置されたり、挟みこまれたりしている。これらは、コラージュと言うよりもモンタージュされた写真と言える。
フランス語で組み立てを意味するモンタージュは、1920年代にロシア映画でその手法が確立された。「戦艦ポチョムキン」の製作者であるセルゲイ・エイゼンシュテインは、オデッサの階段と呼ばれるシーンで、ある映像と別の映像を繋ぎ合わせることで、それら別々の映像が相対的な関係を結び、全く別の意味や解釈を見る側に与えることを示した。
映画や映像作品においては、別々のイメージを連続させて見せることで、それらが必然的な繋がりを持つかのような錯覚を、鑑賞者に起こさせることを可能にしている。一方イメージが固定された写真では、並置された写真が一つのフレーム内に収められていたとしても、イメージ同士の掛け合わせが別の解釈へと昇華する前に、それぞれの写真の関連性を想像することはできても、映画や映像のような効果を得ることは難しい。
とはいえ、個々の写真イメージが持つ、形や色調やトーン等に工夫を加えることで、写真を組み立て、映画や映像とは違うモンタージュ表現を作り出すことは不可能ではない。実際、ダダやシュールレアリズムの作品でもその実践は行われていた。
同じように、木村が作り出したこれらの写真は、くっつき合い組み立てられたイメージとして、元の写真が持つ固有の概念から解放されて、私たちにどのような新しい意味や言葉を与えてくれるのだろうか。

【写真雑誌「PHaT PHOTO」、「Have a nice PHOTO!」編集長 安藤菜穂子からのコメント】
写真イベント「御苗場」の10年の歴史の中でも、
とりわけ鮮烈な印象を残した木村華子。
2枚が組み合わさることで写真はスピード感を増し、
見ると脳と目がフル回転する。
全く違う景色が組み合わさっているのに、脳がどこか疑ってかかる。
これが本当の景色なのではないか?
1枚の写真に固定されてしまう「意味ありげなメッセージ」にあらがうように、
木村の写真はいつまでも疑うことをやめさせない。
イメージはどこまでも見る人を追いかけてくる。
「はじまりの終わりは、終わりのはじまり。」
写真集をめくるたび、その無限ループにどっぷりと浸かってしまのだ。

 

Artist Statement
意味と関連性を持たない二枚の写真が正方形の中でひとつとなったとき、思いがけず私に特定の時間と場所を超越した情景をもたらした。

それは向き合うたびに意味合いを変え、あるときは遠い記憶のようでもあり、あるときは自分でも到達しえない深層心理の表出のようにも感じられる。
またそうかと思えば次の瞬間、なにごともなかったかのように全く意味も関連性もない元の二枚の写真に還る。

「意味があること」と「意味がないこと」の表裏は多義図形のようにイメージの中で永遠に反転し続け、どちらか一方に留まることはない。


Artist Information
木村華子 Hanako Kimura

京都府出身、大阪府在住。
フリーランスフォトグラファーとして商業写真を撮る傍ら、自身のライフワークとしての作品を定期的に発表している。

2011年 同志社大学美学芸術学科卒業。

2012年 御苗場vol.11 レビュアー賞2部門受賞

2013年 Book Storage ヨーロッパツアーに選出。手製写真集「はじまりの終わりは、おわりの始まり。」がヨーロッパ5都市で開催されたArtbook Fairに出展される。

KYOTO PHOTO AWARD アワード部門優秀賞受賞

2016年 初となるZINE「発光幻肢 -remodering- 」を発売

個展「 写真庭園プロジェクトVol.1 <発光幻肢> 」gallery main 京都
    
個展「 写真庭園プロジェクトVol.2 <眼火閃発> 」中之島Spinning 大阪

2017年 第17回写真「1_WALL」審査員奨励賞 (菊地敦己氏選)受賞

 

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